今では翻訳事務所として屋号を掲げていますが、
翻訳って何してるの?翻訳者にはどうなったらなれるの?実際生活していけるの?
などなど、疑問が浮かぶ方もいらっしゃると思います。
中でも「翻訳者になった人の生の声」はあまり広く知られていないのではないでしょうか。
実際私も前職の秘書時代には、翻訳者という仕事があることさえ知りませんでした。
そこで、私の個人的なケースですが、翻訳者になったきっかけとそれまでの経緯をお伝えしたいと思います。
アメリカで心理学を学びたい
私はアメリカの四年制大学を3年と少しで卒業しています。
私の家はお金持ちではありませんでした。普通の一般的な家庭でした。
高校時代、進学校に進学した私は、心身のバランスを崩してしまい、声が出なくなってしまいます。とても恥ずかしい思いをしたのを覚えています。
「どうして出したいのに声が出ないの?」心で思うことを体が聞いてくれない。
そういった状況の中で自分を知りたいと勉強するうちに「心理学」という学問を知ります。
心理学を極めたい。でも日本の心理学部は世界でも後れを取っている。
最先端の心理学を学べるアメリカに行きたい!
そう決心したのは17歳の時でした。
周りは猛反対。四面楚歌の状態でした。
何で危険な国に18歳の女の子が行かなくちゃいけないの?
パパの決めたあの大学でいいじゃない。寮もあるし友達もできるよ。
両親の反対はすごいものでした。金銭的にもうちは留学させられるような家じゃありませんでした。
2年間かけて両親を説得し、「留学通訳ジャーナル」を読み漁りました。
留学を決心した私は学校を休みがちになり、図書館で英語と心理学の本を読み漁ります。
そのあまりに熱心な姿をみていた両親には最後には賛成してもらい、晴れて18歳になり、高校卒業してすぐに単身渡米しました。
留学時代のことはまたの機会に。
この留学時代に英語力を自分の限界レベルまで高めました。
卒業後は転職ばかり
卒業して帰国する約束でしたので、帰国せざるを得ませんでした。
帰国しても世の中「就職氷河期世代」。
契約社員や派遣社員として、半導体製造会社の翻訳グループで働いたり、事務をしたりしていました。
あるとき、留学経験者求むという求人を見て、すぐに飛びつきました。
総合病院の秘書という役職でした。
秘書時代に論文の校正を依頼される
この病院には数百名の医師が所属しており、系列病院も多くありました。
ある脳外科のトップの医師から、
「○○ちゃん、よかったら僕の論文校正してくれないかな」と依頼されます。
この一言が私の人生を変えることになります。
この先生は今この世にはいないのですが、本当に「ありがとうございます」と伝えたいです。尊敬しています。そしてご恩に感謝しています。
この先生の論文は某有名文献に採用され、先生は欧州での学会にまで招待されます。
そこで、他の某有名大学の名誉教授が、この論文は誰が校正したのだと思われたそうです。
そして私の存在がフォーカスされ、名誉教授の論文の校正にも携わるようになります。
秘書の仕事にかける時間は無くなっていきます。
そんなとき、名誉教授の論文の校正を手掛けている他の外国の方から衝撃的なメールをいただきました。
丁寧な文面でしたが、
「なんで秘書なんかやってるの?」という内容でした。
海外では秘書はアシスタントとして補佐役という印象がありキャリアを積めない職業と思われているようです。実際そうでした。
シングルマザーの私は秘書の給料のみでは息子を育てていくのに不安を感じていました。というより全然足りませんでした。
「翻訳者になりなさいよ」
英文メールはこの言葉で締めくくられていました。
「私なんかが翻訳者になれるだろうか・・・」
「とりあえず、翻訳会社のトライアルを受けてみよう」
そうして即実行しました。
翻訳会社のトライアルを受ける
求人チラシにのっていた翻訳会社にトライアルを受けさせてもらえないかと連絡しました。決して「翻訳者を求む」の求人ではなかったのに。
若かりし頃の私は行動力があったのですね。
見事その会社のトライアルに合格し、面接をしてもらえることになります。
面接で単価(これがめちゃくちゃ大事)を交渉し、仕事の依頼を受け始めます。
非常にかいつまんで書いてきましたが、私は晴れて翻訳者としての人生を生き始めたのです。
多感な時期にアメリカという文化にどっぷりつかった私。
面接で給与や支払い金額の交渉をすることが当たり前だと思っていました。
(今はあまり一般的ではないことをわかっています(;^_^A)
シングルマザーでもあったので単価を挙げてもらえるよう熱心に交渉しました。
幸いなことに受け入れていただき、今のエージェントに本当に感謝しています。
今後は、私の翻訳者としての仕事面のことや英語の勉強方法、留学時代のこともブログに書いていきたいと思います。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
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